まずはデッサン道具から

鉛筆デッサンは、ほとんどの美大入試で課される、すべての学科に共通する基礎です。

ここでは、鉛筆デッサンを始めるのに必要な道具と、油画専攻などで使う木炭デッサンの道具を紹介します。最初は「最低限そろえるもの」だけで十分です。描き慣れてきたら、「あると便利なもの」を少しずつ足していきましょう。

最低限そろえるもの

鉛筆

デッサン用の鉛筆は、硬いもの(H系)から柔らかいもの(B系)まで、硬さの違うものを何本かそろえて使い分けます。硬い鉛筆は薄く細かい調子や明るい部分に、柔らかい鉛筆は濃い影や力強い線に使います。

旧版では4H・2H・F・2B・4Bの5種類をすすめていましたが、今はもう少し幅を持たせて、たとえば2H前後から6B前後までを1本ずつそろえ、よく使う硬さは2本以上持っておくのがおすすめです。同じメーカーでそろえると、硬さの段階が分かりやすくなります。

デッサン用の鉛筆は、鉛筆削りではなくカッターナイフで削り、芯を長く出して使うのが一般的です。寝かせて面を塗ったり、立てて細い線を引いたりと、一本でいろいろな描き方ができるようになります。

カッターナイフと紙やすり

鉛筆を削るためのカッターナイフと、芯の先を整えるための紙やすり(サンドペーパー)です。紙やすりは、粗めのものを板やカルトンの端に貼っておくと使いやすくなります。

消し具

デッサンでは、消しゴムは「消す」ためだけでなく、「描く」ための道具でもあります。

練り消しは、軽く押し当てて鉛筆の粉を取り、明るい部分やハイライトをつくるのに使います。形を変えられるので、細かい部分にも使えます。
プラスチック消しゴムは、線をしっかり消したいときに使います。カッターで角を切って、鋭い角をつくっておくと細部を消しやすくなります。
ペンタイプの細い消しゴムは、細い線状の光や、小さなハイライトを描き起こすのに便利です。

カルトンとクリップ

カルトンは、画用紙の下に敷く画板です。紙をしっかり固定するために、大きめのクリップを数個(旧版では目玉クリップ4つ)用意して留めます。受験で使う紙のサイズに合わせて、カルトンの大きさを選びましょう。

紙

練習用には、デッサン用の画用紙を使います。旧版で紹介したように、入試では普通の画用紙のほか、ケント紙やTMPポスター紙など、大学や年度によって違う紙が使われることもあります。いろいろな紙で描いて、紙による鉛筆の乗り方の違いに慣れておくと、本番で慌てずに済みます。

道具箱

鉛筆や消しゴムなど細かい道具をまとめて持ち運ぶための箱です。専用の画材箱でなくても、仕切りのある釣り具や工具の箱で十分です。

あると便利なもの

擦筆(さっぴつ):紙を固く巻いた棒で、鉛筆の粉をこすってなめらかな調子をつくるのに使います。旧版ではティッシュでぼかす方法を紹介していましたが、指やティッシュでこすりすぎると画面が汚れて見えやすいので、使いどころは限った方がよいでしょう。

ハケや柔らかい筆:練り消しのかすや鉛筆の粉を、画面をこすらずに払うのに使います。旧版で紹介したファンブラシ(扇形の筆)も、軽くぼかしたり粉を払ったりするのに役立ちます。

測り棒・デスケル:モチーフの比率や傾きを確かめるための道具です。デスケルは、枠の中に格子が入った道具で、構図を決めるときに使います。

フィキサチーフ(定着液):描き終えたデッサンにスプレーして、鉛筆や木炭の粉が落ちないように定着させます。練習作品を保存しておきたいときに便利です。

木炭デッサンの道具

油画専攻などでは、木炭を使ってデッサンをすることもあります。木炭は鉛筆よりも大きな画面に力強く描け、明暗の幅を大きくとれるのが特徴です。

木炭:太さや硬さの違うものがあります。中に芯があるものは、細い針金などで芯を抜いてから使います。
木炭紙:木炭が乗りやすい、表面に細かい凹凸のある紙です。
消し具:木炭デッサンでは、食パンや練り消し、ガーゼを使って木炭を拭い取り、明るい部分をつくります。
フィキサチーフ:木炭は鉛筆よりも粉が落ちやすいので、描き終えたら定着させます。

木炭を使うかどうかは、志望する大学・学科の課題によります。募集要項や過去の課題で、鉛筆と木炭のどちらが使われているかを確認してからそろえましょう。

試験前に確認すること

試験で使える描画材料や道具は、大学・学科ごとに募集要項で指定されています。

普段使っている道具でも、試験では持ち込めないことがあります。たとえばフィキサチーフのようなスプレー類は、試験会場での使用が制限されることがあります。練習のうちから、試験で使える道具だけで描き切れるようにしておきましょう。

ほかの学科で必要な画材については美大受験に必要な画材(学科別)を、油絵の道具については油絵の道具一覧を見てください。