画材は学科で決まる
美大受験の実技では、試験に必要な画材の多くを自分で用意して持っていきます。
どんな画材が必要かは、志望する学科によって大きく変わります。油画を目指す人と、デザインを目指す人とでは、使う絵の具も道具もまったく違います。まずは志望学科の方向性を決めてから、必要なものをそろえていきましょう。
このページでは、どの学科でも共通して必要になるものと、学科ごとに必要になるものを分けて紹介します。個別の道具の詳しい説明は、それぞれのページで扱っています。

どの学科でも必要なもの
学科ごとに必要なもの
絵画(油画)
油絵の具、筆、ペインティングナイフ、パレット、溶き油、キャンバスなどが必要です。入試では限られた時間で油彩を仕上げるため、速く乾かすための画用液や、アクリル絵の具を併用する受験生もいます。道具の数が多い学科なので、油絵の道具一覧で順にそろえていきましょう。
絵画(日本画)
日本画専攻の入試の着彩写生では、岩絵の具ではなく、水彩絵の具などで描くのが一般的です。水彩絵の具、水彩用の筆、パレット、筆洗、水張り用のパネルやテープなどをそろえます。モチーフを細かく正確に描く課題が多いため、細い筆も用意しておくとよいでしょう。
デザイン
色彩構成や平面構成の課題では、ポスターカラーやアクリルガッシュなどの不透明な水性絵の具を使うのが一般的です。平筆や面相筆などの筆、パレット、筆洗のほか、きれいな直線や曲線を引くための定規や溝引きの道具、烏口やコンパスなどもよく使われます。立体構成の課題がある大学では、紙や粘土などの材料と、それを加工する道具も必要です。
彫刻・工芸
彫刻科などの塑造の試験では、粘土は会場で用意されることが多い一方で、粘土べらやかきべらなどの道具は自分で持っていくのが一般的です。デッサン道具とあわせて、塑造用の道具一式を用意しましょう。工芸科は大学によって立体の課題の内容が違うので、募集要項で持参物を確認してください。
建築・映像・芸術学など
これらの学科では、鉛筆デッサンや空間表現の課題のほか、小論文や学科試験の比重が大きいこともあります。デッサン道具に加えて、志望校の課題に応じた道具を用意しましょう。実技よりも文章を書く準備の方が大切になる学科もあります。
そろえ方のコツ
最初から全部をそろえる必要はありません。まずはデッサン道具から始めて、志望学科が決まったら、その学科の画材を少しずつ買い足していくのが無駄のない順番です。
予備校に通う場合は、予備校から指定の道具のリストが渡されることが多いので、それを待ってから買いましょう。独学の場合は、画材店で実物を手に取り、店員さんに「美大受験用」と伝えて相談するのが確実です。
美大に通う先輩や、受験を終えた知り合いがいれば、使わなくなった道具を譲ってもらえないか聞いてみるのもよい方法です。イーゼルやカルトン、画材箱のように長く使える道具は、中古でも十分に役立ちます。
お金をかけるところ、節約できるところ
旧版では「画材こそケチってはいけない」と書きました。半分は今もそのとおりですが、半分は言い直しておきたいと思います。
お金をかけた方がいいのは、描き味や仕上がりに直接関わるものです。すぐに芯が折れる鉛筆や、発色の悪い絵の具では、練習の成果そのものが出にくくなります。こうした道具は、安さだけで選ばない方がいいでしょう。
一方で、高い画材を使えば合格に近づくわけではありません。絵の具は基本の色を混ぜればたいていの色が作れますし、キャンバスは自分で張れば費用をかなり抑えられます。道具箱は釣り具や工具の箱でも代わりになります。節約できるところは節約して、その分をたくさん描くための消耗品に回しましょう。
試験の持参物は必ず確認する
試験に持っていける画材や道具は、大学・学科ごとに募集要項で指定されています。
使用できる画材が限られていたり、特定の道具の持ち込みが禁止されていたりすることもあります。過去の入試課題でも紹介したように、会場で配られた画材だけで描く年があった学科もあります。
普段の練習では使い慣れた道具でも、試験では使えないことがあります。志望校が決まったら、持参物の指定を早めに確認し、試験で使える道具で練習しておきましょう。