進路は思っているより広い

美大を出た人の進路は、「作家」か「デザイナー」の二つだけではありません。

実際、東京藝大の美術学部の卒業生の就職先には、ゲーム会社、玩具やメーカー、広告代理店、アニメーション制作会社、印刷会社、新聞社など、幅広い業種の名前が並びます。

このページでは、美大・芸大を出た人が就く主な職種を、分野ごとに見ていきます。志望する学科を決めるときの参考にもなるはずです。

デザインの仕事

美大卒の就職先として、もっとも人数が多い分野です。

グラフィックデザイナー:ポスター、広告、パッケージ、ロゴなど、平面のデザイン全般。

エディトリアルデザイナー:本や雑誌の誌面設計。

UI/UXデザイナー:アプリやwebサービスの画面設計と使いやすさの設計。近年もっとも求人の多い職種の一つです。

プロダクトデザイナー:家電、日用品、文具、自動車などの製品のデザイン。メーカーに就職する形が中心です。

空間・ディスプレイデザイナー:店舗、展示会場、ショーウィンドウ、イベント会場の設計。

テキスタイル・ファッション関連:布地や衣服、生活用品のデザイン。

これらの仕事は、デザイン事務所や制作会社に勤める形と、企業の社内デザイナー(インハウス)として働く形があります。近年は企業が制作を内製化する動きもあり、社内デザイナーの役割は広がっています。

映像・ゲームの仕事

ゲーム関連:キャラクターデザイン、背景美術、3DCGモデラー、UIデザイン、アートディレクション。藝大の卒業生にも、ゲーム会社に就職する人がいます。

アニメーション:原画・動画、美術背景、色彩設計、撮影、演出。

映像制作:映像編集、モーショングラフィックス、VFX、CM制作。

絵を描く力に加えて、制作ソフトの技術やチームで進める力が問われる分野です。在学中からツールに触れておくと有利になります。

広告・制作の現場を動かす仕事

アートディレクター:ビジュアル全体の方向性を決め、イラストレーターや写真家、デザイナーをまとめる仕事です。デザイナーとして経験を積んでから就くことが多い職種です。

制作進行・プロデューサー:予算、スケジュール、人の手配を担い、制作を完成まで運ぶ仕事。自分では描かなくても、美術の知識が役立ちます。

この分野の詳しい事情は広告・デザイン業界の仕事で扱います。

描く・つくることを仕事にする

イラストレーター:詳しくはイラストレーターという進路をご覧ください。

漫画家・絵本作家:出版社への持ち込みや、webでの発表から始まることが多い道です。

作家(アーティスト):作家として生きるということで、活動を支えるお金の仕組みを説明しています。

造形の仕事:フィギュアの原型制作、模型、舞台美術、展示の造作、テーマパークや映像作品の造形物。彫刻科や工芸科で培った立体の力が直接生きる分野です。

工芸:陶芸、金工、漆芸、染織など。作家として制作する人、メーカーや工房に勤める人、産地で職人として働く人がいます。

文化を支える仕事

学芸員:美術館や博物館で、展覧会の企画、作品の収集と管理、調査研究を行います。大学で学芸員課程を修めることで資格が取れますが、募集人数は多くありません。

アートマネジメント:芸術祭やギャラリー、文化財団、自治体の文化事業などで、作家と社会をつなぐ仕事です。

文化財の保存・修復:絵画や彫刻、建造物の修復。専門的な訓練が必要で、大学院や専門機関で学んでから進む道が一般的です。

教育:中学校や高校の美術教員(教職課程が必要)、大学や専門学校の教員、美術予備校の講師、絵画教室の主宰。制作と両立しやすい仕事として選ぶ人も多くいます。

美術を支える仕事:画材店、額装、印刷、美術品の輸送や取り扱い、オークションハウスなど。

建築・空間の仕事

美大の建築科や環境デザイン系の学科からは、建築設計、インテリアデザイン、ランドスケープデザイン、都市計画などの道が開けます。設計事務所やゼネコン、住宅メーカー、内装会社などが主な就職先です。

建築士の資格を目指す場合は、学科が国土交通大臣の指定を受けているかどうかが受験資格に関わります。志望校を選ぶ段階で確認しておきましょう。

在学中に決まってしまうこと

いくつかの進路は、在学中の履修によって道が決まります。

学芸員課程、教職課程、建築士の受験資格などは、あとから取ろうとすると大きな回り道になります。

興味のある進路があるなら、入学したらすぐに、どの科目を取れば要件を満たせるかを確認しておきましょう。志望校を選ぶ段階で、その課程が置かれているかを見ておくのも大切です。

また、美術系以外の一般企業に就職する人もいます。美大で身につけた、形にする力や、人に伝える力は、どの業界でも生きます。就職活動の進め方は美大生の就職活動で扱います。