画材だけでは描けない

美大受験には、絵の具や鉛筆のほかにも用意しておきたいものがあります。

自宅で描くための環境、汚れを気にせず描くための服、そして画材や作品を試験会場まで運ぶための道具です。どれも地味ですが、練習の量や試験当日のコンディションに直接関わります。

自宅で描くための道具

イーゼル

自宅で練習するなら、まず必要なのがイーゼルです。画面を立てて描くことで、モチーフと画面を見比べやすくなり、試験会場と同じ姿勢で練習できます。

木製の三脚型や、キャンバスを挟んで固定するタイプなど、いろいろな種類があります。油絵を描く人は、大きめのキャンバスを安定して立てられるものを選びましょう。部屋が狭い場合や、予算を抑えたい場合は、机の上に置く卓上イーゼルや、折りたためるタイプでも練習は十分にできます。長く使う道具なので、中古品や先輩から譲ってもらうのもよい方法です。

椅子と照明

高さを調整できる椅子や、座面の低いスツールがあると、長時間描いても疲れにくくなります。

夜に描くことが多い人は、照明にも気を配りましょう。モチーフに一方向から光を当てるためのスタンドライトがあると、明暗がはっきりして、デッサンの練習がしやすくなります。色を扱う人は、色の見え方が自然光に近い照明を選ぶと、昼と夜で色の印象が変わりにくくなります。

床や壁の汚れ対策

絵の具や木炭の粉は、思った以上に飛び散ります。描く場所の床にビニールシートや新聞紙を敷いておくと、片付けがずっと楽になります。家族と暮らしている人は、描く場所と汚れ対策について、あらかじめ話し合っておくと安心です。

汚れてもいい服

旧版でも強くすすめていたのが、つなぎなどの汚れてもいい作業着です。

油絵の具は、一度服についてしまうとなかなか落ちません。きれいな私服で描いていると、服を汚さないように気を使って、思い切った描き方ができなくなります。汚れを気にせず描ける服を着ることは、単純なようでいて、作品の出来にも関わる大事な準備です。

つなぎのほかに、エプロンや、汚れてもいい古着でもかまいません。試験当日も着替えられるように、持ち運びやすいものを一着用意しておきましょう。冬の試験会場は冷えることもあるので、作業着の下に着込める防寒着もあると安心です。

画材と作品を運ぶ

丈夫なかばん・キャリーケース

試験の日は、デッサン道具、油絵の道具、作業着など、たくさんの荷物を持って会場に向かうことになります。手提げのバッグだけでは重く、試験の前に疲れてしまいます。

画材をまとめて運べる、丈夫なキャリーケースやリュックを用意しましょう。旧版にも書いたように、途中で持ち手や車輪が壊れると、会場にたどり着くことさえ大変になります。値段よりも、丈夫さと、階段や人混みでも扱いやすいかを基準に選んでください。重い荷物を運ぶためのキャリーカートも便利です。

カルトンやキャンバスを運ぶ

カルトンや紙は、大きな画板用のケースやバッグに入れて運ぶと、雨や折れから守れます。

油絵のキャンバスは、乾いていない状態で運ぶこともあります。キャンバスどうしを画面が触れ合わないように向かい合わせて固定する専用の金具やクリップがあるので、濡れた絵を持ち帰る可能性がある人は用意しておきましょう。

試験当日にあると助かるもの

腕時計:試験中は携帯電話などを使えないことが多く、教室の時計が見えにくい席になることもあります。時間配分が大切な実技試験では、自分の腕時計があると安心です。ただし、使える時計の種類が指定されていることもあるので、募集要項を確認してください。

手や道具を拭くもの:タオルやウェットティッシュ、キッチンペーパーなど。絵の具や木炭で汚れた手をすぐに拭けると、画面を汚さずに済みます。

軽い食べ物と飲み物:長時間の実技試験では、休憩時間にさっと食べられるものがあると集中力を保てます。試験中の飲食の可否は大学の指示に従ってください。

予備の道具:鉛筆、消しゴム、筆など、試験中に折れたりなくしたりすると困るものは、予備を持っていきましょう。

準備は早めに

こうした道具は、試験の直前にあわてて買いそろえるより、練習のうちから使い慣れておく方がずっと安心です。とくにかばんやキャリーケースは、一度荷物を全部詰めて、実際に持って歩いてみると、重さや使い勝手がよく分かります。

地方から受験する人は、移動や宿泊の準備も必要です。地方から東京の美大を受験するときを参考にしてください。画材については美大受験に必要な画材(学科別)、デッサン道具一覧、油絵の道具一覧にまとめています。